浦安市 中町人 液状化対策
市街地液状化対策について、住民参加で進めていくための備忘録・整理の意味でまとめています。
宅地の液状化 地盤固化・地下水排出で防ぐ
- 2016/06/18 (Sat)
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(今さら聞けない+)宅地の液状化 地盤固化・地下水排出で防ぐ
2016年6月18日03時30分 朝日新聞から(全国版5p)
熊本県などの一連の地震では、広範囲で液状化が発生し、住宅が傾くなどの被害が出ました。液状化は起きやすい場所や条件があります。液状化から住宅を守るにはどんな方法があるのでしょうか。□ □
熊本市南区の住宅街では、真新しい外観の木造家屋や鉄筋コンクリートのビルが大きく傾き、地面と建物の間に数十センチの段差が生じました。地震発生直後には、地割れ部分から砂や水が噴き出し、道路に広がりました。いずれも液状化の典型的な現象です。
地面の下は通常、砂粒同士がかみ合って建物の重さを支えています。しかし、地震の揺れで砂粒同士のバランスが崩れ、地中の水と混ざり合ったドロドロの状態になります。その結果、建物は自らの重さで傾き、地盤が沈下します。
液状化は(1)地下水位が浅い(2)砂が緩く堆積(たいせき)している(3)その地盤が地震で大きく揺すられる、という三つの条件を満たした場合に起こります。特に起きやすいのは、比較的新しい埋め立て地、昔の川筋だった旧河道、大河川の沿岸などです。東日本大震災では埋め立てや盛り土で造成した住宅地で被害が多く、熊本地震では旧河道とみられる場所で目立ちました。福岡大の村上哲教授(地盤防災工学)は、「国土地理院がホームページで公表している治水地形分類図や自治体の液状化マップなどで、土地の歴史や液状化の危険度を把握することが大切だ」と言います。
液状化で建物が傾いた場合、ジャッキで持ち上げて土台の傾斜を直す方法などがあります。工費は100万~300万円程度。ただ、地震で再び液状化すれば、それだけでは土台の下にある基礎が再度沈むリスクがあります。□ □
根本的に液状化を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。国土交通省は今年2月、道路などの公共施設と宅地の一体的な液状化対策として、「市街地液状化対策推進ガイダンス」を公表しました。既存の建物がある場所で効率的にできる対策として、次の二つを推奨しています。
一つは「格子状地中壁工法」。セメントなどを円柱状に連続して地中に流し込み、宅地の周りの地中を壁のように囲みます。地震の揺れによって地盤が変形するのを抑え、液状化を防ぎます。東日本大震災で被害が出た千葉県浦安市の一部地域で採用が決まりましたが、補助を受けても1戸あたり200万円弱の負担が生じます。
もう一つは「地下水位低下工法」。戸建て住宅の場合、一般的に地下の水位を地表から3メートルより深くすると、液状化は起こりにくくなります。そこで道路の地下などの深さ3メートル前後に排水管を埋めて、地下水を排出し、地下水位を下げるというものです。ただ、場所によっては地盤沈下を起こすこともあるので、工法が適しているか地盤調査が必要です。
東日本大震災の復興交付金を使った茨城県潮来市では、道路対策としてこの工法を行ったので住民負担はありませんでした。国内の平野部は、地下水位が深さ1~2メートルのところが多く、いずれも液状化のリスクは高いです。大阪市立大の大島昭彦教授(地盤工学)は、「南海トラフ巨大地震が想定される地域などでは、このような液状化対策を事前に実施すべきだ」と指摘しています。
液状化による建物被害を防ぐ方法として、地盤を締め固めたり、地中にくいを打ち込んで建物の基礎を支えたりする、戸別の対策もあります。だが、1軒だけ対策していても、周囲の地盤が液状化して水道管やガス管などが破断すれば、生活が困難になることも考えられます。東京電機大の安田進教授(地盤工学)は「熊本で被害が発生した場所も、液状化した地域全体で対策を検討すべきだ」と言います。
■記者のひとこと
熊本地震では揺れによる建物の倒壊が注目されていますが、液状化の被害も深刻です。どんなに耐震性の高い家屋でも、地盤が液状化すれば建物が傾いたり沈んだりして住めなくなってしまいます。「一生の買い物」を守るために、事前に起こるリスクを知り、対策を講じる必要を痛感します。(佐藤建仁)
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